昨年の12月以降、新型コロナウイルスによる肺炎が、中国の武漢市を中心に発生し、短期間で世界中に広まっています。
そこで今日は、ウイルスと細菌の違いについて、お話しします。
生物の増殖には、自分のDNA(遺伝子)を複製・増殖させる必要があります。
細菌は細胞をもち、周りに「えさ」さえあれば、どこでも簡単に自分のDNAを複製・増殖させ、繁殖することができる「生物」です。
一方、ウイルスは細胞をもたず、「中にDNA(またはRNA)という遺伝子が1、2本入ったカプセル」という非常にシンプルな構造をしています。大きさも細菌の50分の1程度です。細菌のように、自らえさを食べて自分のDNAを増殖させるような機能ももっていません。
ですから、ウイルスは微生物に分類されますが、厳密には「生物」ではないとされています。
自力では増殖できないウイルスは、他の生物の細胞の中に入り込み、その細胞がもっているDNAやRNAの増殖機構を借りて、自分のDNA(またはRNA)を増殖させます。
ですから一般的には、「ウイルスは他人の細胞の中で増殖し、細菌は他人の細胞の外で増殖する」といえます。
いずれにしても、それらが原因となる感染症に対しては、日頃から「うがい・手洗い」を励行し、人混みではマスクを着用するなどして、感染を予防しましょう。
なお、イラストの人物は、黄熱病や梅毒の研究で功績を遺した細菌学者として知られる野口英世です。