こんにちは。教室長の大野です。
三者面談シリーズも第3弾。今回は公立高校の推薦入試についてです。
全国的には県立高校入試での「推薦入試」は減少傾向にあり、別の制度(特色化選抜など)に置き換わっている都道府県も出ています。北陸三県でも、石川県の県立トップの金沢泉丘高校も福井県の県立トップの藤島高校も推薦入試を実施していません。富山県でも「御三家」の推薦入試はなくなりました。
なぜトップ校の推薦入試はなくなったのでしょうか?理由はいくつか考えられますが、その一つに「学力」の問題があります。私が石川県にいたころ、「推薦入試出願者」「推薦入試合格者」「一般入試合格者」の成績について「傾向」があることに気づきました。(全員がそうではありませんが、その傾向が強いということです。)
その傾向とは、
①「推薦入試出願者」は12月の三者面談の後に勉強時間が減り、成績が下降することが多い。
※不合格者のうち半分は奮起してがんばるが、半分はショックを引きずり、なかなか受験勉強に戻れない。
②「推薦入試合格者」はその後も「一般入試合格者」に比べて勉強時間は少なく、模試や実力テストの成績が下がることが多い。
以上2点です。
ここで1つ目の問題は、「推薦の出願ができる」=「合格確定」ではないのに合格が決まったかのように気がゆるんでしまうことです。
例えば、平成27年度入試で、
富山東の自然科学コースは、12名の募集人員に大して24名出願しています。いずみの総合学科も48名の募集人員に対して77名出願しています。
たしかに富山工業の電子機械工学科のように、16名の募集人員に対して7名しか出願しておらず、全員合格内定したというような場合もありますが、「推薦」=「合格」にはなりません。
「推薦入試」に出願しても、決して気をゆるめないようにしないと、「一般入試」に悪影響が出る恐れがあります。また、「不合格」を引きずることのないようにすることも大切です。
私が推薦で不合格になって落ち込んでいる生徒に言う言葉は、「なぐさめ」の言葉ではありません。
「今はまだ、『高校受験』という試合中だ。まだ試合は終わっていない。試合中のミスや失点に落ち込んでいる場合か?泣いている場合か?泣くのは試合が終わった後にしなさい」
1秒でも早く顔を上げて次に向かわせないととても危険です。
また、もうひとつ心配なのは、高校入学後のことです。大学受験でも問題となっている、「学力の低い推薦入学者がいる」という問題です。推薦入試は「学力」だけでは決まりません。ところが、高校(特に普通科)では「学力」がないと授業についていくのが厳しくなってしまいます。
「学力の低い推薦入学者」を生み出す原因の一つは、「受験勉強が早期終了した」にもかかわらず「高校の準備をしない」ことです。スポーツ推薦の生徒は、合格が決まれば、高校に向けてトレーニングを本格的に再開します。音楽推薦の生徒も合格が決まれば、減らしていたレッスンを増やして高校に備えます。しかし、勉強ではそれをしない生徒がいるのです。逆に考えると、推薦で合格した生徒は、高校の勉強をすぐにでも始めるべきです。せっかく早く受験が終わったのですから、その空いた時間を無駄に過ごして他の生徒たちと同じ条件になるまで待っているなんてもったいない!
推薦出願の話が出たら、
①「合格」するまで受験勉強の手を絶対にゆるめない
②不合格になっても一般入試に全力を尽くす
③合格した場合は、高校の準備を他の生徒の「受験勉強」なみにがんばって高1のスタートでトップに立つ
以上3点を決意して出願するようにしてください。