こんにちは。教室長の大野です。
タイトルは、以前に書いた【理科が苦手】(http://jyukuerabi.com/detail/55/blog/636)の英語バージョンです。
英語こそ、「苦手」と勘違いしている人が多い科目です。そもそも英語は「言語」ですから、「苦手」という概念自体が存在しません。「日本に来て数ヶ月です」というような人は別として、「日本語が苦手」という人はいないはずです。ひらがなとカタカナは全員書けますし、小学校で習う1009字もほとんどの人が読み書きできます。
「そんなの日本人だからあたりまえじゃん!」
そのとおりです。頭がいいとか悪いは日本語を「話せる」「話せない」に関係はありません。ひらがなやカタカナが書けるようになることに頭がいい必要はありません。
英語も同じなのです。難しい理屈は高校生になってからの話で、中学校の英語には、そんなに複雑な文法事項は出てきません。
そもそも中学1年生は、ひらがな48文字(「ゐ」と「ゑ」を抜くと46文字)+「が」など濁点(゛)がつくものが20文字、「ぱ」など半濁点(゜)が5文字で合わせて73文字。カタカナも同様に73文字ですから、かな文字146文字+漢字約1000字を使えるわけです。英語のアルファベット26文字(大文字と小文字で52文字)と、どちらが簡単かは一目瞭然ですね。
他にも、
動詞の変化は
英語→「原形」「過去形」「過去分詞形」「現在分詞形」の4種類のみ。
日本語→「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「仮定形」「命令形」の6種類に「音便」まであります。
形容詞や形容動詞は
英語→「原級」と「比較級」と「最上級」があるだけ。
日本語→動詞と同じく「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「仮定形」「命令形」の6種類に「音便」まであります。
しかも、形容詞と形容動詞は変化の法則が違います。
(口語では形容詞、形容動詞に「命令形」はありませんが、文語にはあります)
しかも、尊敬語や謙譲語、丁寧語、美化語、丁重語があり、それを状況によって使い分けて・・・。
とにかく日本語は難しい言葉なのです。
ということで、まず苦手だと思い込んでいる人は、「英語は簡単な言語だ」ということを知ってください。
次に、
今中学生の教科書に載っている文のレベルはどうかというと、
「あの少年は誰ですか?」(中1)
「これはカカオ豆から作られた食べ物です。」(中3)
のレベルです。日本の小学生の、国語の教科書では、低学年レベルの日本語か、それ以下です。
ということは、アメリカ人やイギリス人など、英語を母国語としている国では、5歳~7歳くらいの子どもでも書ける文章です。「英語」を研究するならいざ知らず、このレベルが書けるようになるのには「才能」はまったく不要です。必要なのは「書く」「聞く」「読む」経験です。特にテストで点が取れない生徒は「書く」が不足しています。
実は、私も中3の1学期まで英語が苦手でした。中1の後半からわからなくなり始め、中2の1年間は、英語の先生があまり好きな先生でなかったこともあってか、どんどん悪化していきました。普通なら、ひどくなるまえに親から塾に入れられてもいいのですが、私の両親は共働きで2人とも高卒。何も言われませんでした。ところが、中3になるときに友達に誘われて塾に入り、中学卒業時には、1学年300名以上いる学校で、英語は学年1位になっていました。
その時の勉強ですが、とにかく「理解しよう」ということは考えていませんでした。「どうせわからないんだから、とにかく書きまくってやれ!」という、なかば「やけくそ状態」でした。ところが、やっているうちにどんどんできるようになり、あとでつながっていったのです。
先日「日本経済新聞」で、アジアインフラ投資銀行の初代総裁の金 立群(ジン・リーチュン)氏の記事を見ました。文化大革命の時期に青春時代を過ごし、勉強する環境を奪われてしまった金氏は、英語の辞典の内容を片っ端から暗記したそうです。
「苦手」から脱出するときには、あれこれ考えず、とにかく「声に出して読む」「書く」を徹底することをおすすめしますよ。